警官の証言
Policeman's Evidence 1938
論創社
  
英国黄金期の本格ミステリ作家ペニーの密室もの。英国の田舎の邸で、宝探しに夢中になる金持ちが殺され、邸には一癖ありそうな連中が大勢という、典型的黄金期のミステリ。
寄宿制のジャーナリストのアントニー・パードンは、知人のフランシス・アデア少佐の邸モーバリー・グレンジに1月1日から滞在していた。アデア少佐は暗号の専門家で、ふとしたことで17世紀の古い本を手に入れた。この本は、私製の速記法で書かれているもので、趣味の一環として少佐はそれを解読しはじめた。
その本によるとモーバリー家の祖先が、宝物を邸のどこかに隠しているのは確実だった。そこでモーバリー・グレンジのことを調べると、売りに出されており、金持ちの少佐は、そのケチな性格からは考えられないことだが、即座に邸を買い取った。
あくまで少佐の目的は宝を探すことだから、住むための最低限の設備を入れただけであった。邸には少佐の娘ティリーと養女のリーナ・ヒップル、秘書のヒンクソン、執事のアンドルーズ、用心棒のバック、運転手のジャッド夫妻、料理人のファラーのほかに旧友のモンタギューという男が滞在していた。
そして1月1日から総出で宝探しが始まった。ところがそう簡単ではなかった。手掛かり一つ見つからない日々が続いたが、二週間ほどして角材の中に隠されている小箱が見つかった。中には羊皮紙の巻物とルビーが一つ入っていた。
ルビーは相当の価値があるものだったし、羊皮紙には暗号のような私製の速記文が書かれていた。まさに財宝の前兆と一同は沸き返った。ルビーはリーナに預けられ、私製の速記は少佐が自身で解読にあたることになった。
ところがしばらくするとルビーが誰かに盗まれてしまった。リーナはヒンクソンに相談し、ヒンクソンはパードンに相談した。パードンの友人のスコットランドヤードのビール主任警部を当てにしたのだ。パードンはビールに連絡を取って内密の捜査を依頼し、ビールは休暇を取ってモーバリー・グレンジにやって来た。
だが、その晩ビールがついた途端に事件が起きた。少佐が自室で額の真ん中を銃で射抜かれて死んでいたのだ。銃は部屋の中に落ちており、ドアには中から閂が架かり、窓には新しい鎧戸、さらに鎧戸は内側から南京錠で施錠されているという、密室の死だった。
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