甘い毒
Sweet Poison 1940
国書刊行会
  
幻の英国本格派作家ペニーの後期に属する作品。解説によるとペニーは後期の作品の方が水準が高いそうで、この作品も伏線が見事な本格もの。事件の背景となる前半は長くて、どうしても冗長さを感じるが、そこを我慢して読めば後半は一気呵成。
寄宿制のアンスティ・コート私立予備学校の生徒で、ハーバート・ウィークス校長の甥にあたるエドウィン・ウィークスの身辺に、事件が立て続けに起きた。ひとつはエドウィンの寝室に空気銃が撃ち込まれ、続いてエドウィンの自転車に細工がされてブレーキが外されていた。
いずれも大事はなかったが、エドウィンを溺愛するハーバートは、事故やイタズラとは思えなかった。そしてある日のこと、今度は2つのものが無くなった。ひとつはハーバートの姉のシャーロットにフランスから送られてきた小包だった。
その小包にはシャーロットが購入したウィスキーボンボンが入っていて、誤ってロビーに置かれていたのだが、いつの間にか行方が分からなくなった。もうひとつはもっと重大かつ危険なものだった。ハーバートが写真を趣味にしていたころに使っていた青酸カリだった。
青酸カリは瓶に入れられ、何年間も無造作に部屋の棚の中で埃をかぶっていた。それが見当たらないのだ。ハーバートはウィスキーボンボンの中に青酸カリを仕込み、殺人を行うのではないかと恐怖した。しかもエドウィンの命を狙うものがいるのだ。
驚愕したハーバートは、友人のスコットランドヤードの副総監を介し、犯罪捜査部のエドワード・ビール主任警部に非公式に捜査を依頼した。ビールは予定していた休暇を取消し、副総監とともにサリー州の予備学校に向かった。
エドウィンは性格が悪いうえに、ハーバートから気に入られていることを知っており、かなり我儘にふるまっていた。甘いものが人一倍大好きで、意地汚いうえに独占欲が強かった。ハーバート以外、すべての教職員や生徒から嫌われていた。
ビールがそういう情報を得ている間に、無くなったはずのチョコレートボンボンが次々に見つかった。教師のブレザーのポケットや、椅子の上、灰皿の中等々ありとあらゆるところから出てきて、たちまちすべてのボンボンが集まった。
そしてそれを検査したところ、ひとつとして毒はおろか異物が入っているものは無かった。一方、青酸カリの瓶も見つかった。同じ棚の違う個所にあったのだ。中にはかなりの青酸カリが入っていたが、ハーバートによれば量は減っていないようだった。
取りあえずのところ一件落着かと思われたが、ビールは短期間の滞在であったにも関わらず、学校の中に多くの複雑な人間関係があることを思い知らされた。そして本当に事件が起きた。生徒の一人が死んだのだ。
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