14 魔法博士
少年探偵団員の井上、野呂両少年が二十面相扮する魔法博士にさらわれた。二十面相は井上、野呂両少年の替え玉を使い同じ少年探偵団員の山下少年の父親が持つグーテンベルグの聖書を盗み出す。
さらに二少年を使って小林少年をおびき出し魔法博士の隠れ家に本物の二少年とともに監禁する。二十面相の魔法博士が最後に狙うのは憎き明智探偵で、小林少年達を囮にして明智を誘拐するつもりだった。
魔法博士の隠れ家は作り物の胎内潜りがあったり、ゾウがいたりの不思議な空間で、そこで小林少年達はインド魔術を見せられトリックを見破れと魔法博士の挑戦を受けたりする。
一方、明智探偵は魔法博士の誘いに乗ったと見せかけ、うまく博士の隠れ家に忍び込んで小林少年達を助け出し、最後は二十面相と対決。
ゾウが部屋から消えたり、黄金の怪人が現れて段々小さくなったり、黄金の怪人が密室に突然現れたり消えたりと前作にも増してトリッキーな作品となっている。

15 サーカスの怪人
怪人二十面相が黒服に骸骨を描き、どくろの仮面を被って骸骨男に扮してサーカス団を襲う復讐談。
サーカスの客席に突如として骸骨男が現れ、それ以後もテントに横付けされた団長のバスの中や空中ブランコの曲芸中にも現れる。そして団長の息子を誘拐するとの予告が団長に届けられる。
用心した団長はサーカスの近くに西洋館を借り、テントに横付けされたバスから移り住む。ところがそこに骸骨男の魔手が伸び見事に団長の息子をさらってしまう。
骸骨男はバスの中や団長が借りた西洋館などに現れたり消えたりで自由自在に出入する。やがて骸骨男の正体を知った明智と小林少年は団長の息子を救出する。
本作品は二十面相が宝石や美術品などに一切手を出さず、ひたすらサーカス団に対してある理由から復讐心を燃やす異色作。そして二十面相の本名や過去が明らかにされている作品でもある。

16 魔人ゴング
サーカスの怪人に続いて怪人二十面相が復讐をする物語。今度の復讐の相手は過去に二十面相を担当した花崎検事で、やがて世間で魔人ゴングと呼ばれるようになる白い悪魔のような顔を持つ怪人に化けて花崎家を襲う。
花崎検事にはマユミと俊一の姉弟がいて、姉のマユミは明智探偵の姪でもあり、その縁で明智の助手になる。そこに魔人ゴングの魔手が伸び、厳重な見張りの中からマユミをさらっていってしまう。
ところが明智の方も負けてはおらず、ゴングの誘拐を見越して小林少年をマユミに変装させていて…
その後は俊一少年がさらわれたり、魔人ゴングに正体のばれた小林少年に死の危機が迫ったりとサスペンス風の展開になる。

17 魔法人形
少女クラブに連載された作品で、単行本化の際は悪魔人形と改題されたこともある。
人形に題材をとり、物語の始めも公園で腹話術師の老人が二人の少女を相手に腹話術を始め、そのうち一人の少女を人形を餌に怪しい邸に連れて行ってしまうところから始まる。
その後は誘拐された少女を助けに行った小林少年が、人形好きの老人に囚われて老人ともども焼き殺されそうになったり、誘拐された少女の家に身代金の要求があり、見事に身代金を奪われてしまったりと物語は続く。
後半では銀座の宝石商神山氏の住む西洋館での話に変わる。 神山氏の娘サナエが大の人形好きで、その娘のもとに西洋悪魔のような怪しい男が人形を売りに来る。
よくできた大きな人形で、その人形を買った日から神山家には奇怪な出来事が次々に起こる。そしてある夜、神山家の家宝の「ほのおの宝冠」という宝物が人形によって盗み出された。
ところが、神山氏の息子進一少年が少年探偵団員で、その依頼を受けた前作魔人ゴングから登場の少女探偵マユミがその裏をかいて宝物を奪い返す活躍。
しかし物語りはそれでは終わらず、今度はマユミが西洋悪魔の虜になってしまう。最後の最後に明智が現れてマユミを救い、西洋悪魔の正体を暴くのだが、その正体はもちろん…

18 奇面城の秘密
サーカスの怪人事件で捕らえられ刑務所にいるはずの二十面相だったが、いつも間にか脱獄して独房内には替え玉を置き、次の獲物を狙っていた。
その獲物とは実業家神山正夫氏が持つレンブラントの油絵。二十面相から油絵を盗み出すとの予告状を受け取った神山氏は、明智探偵のもとに駆けつけた。
明智探偵と小林少年、それに警察は神山氏の屋敷の美術室を中心に厳戒態勢を取るが、二十面相は奇抜な手段で油絵を盗んだ。そして脱出すべく屋根に登った二十面相だが、そこを発見されてしまう。
二十面相は手下にあらかじめヘリコプターと飛ばさせていて、それから降ろされた縄梯子でヘリコプターに登ったが、そこには明智探偵が。明智探偵はヘリコプターでの脱出を予想して先回りしたのだ。
ヘリコプターは日比谷公園に着地したが、そこで二十面相は再び入れ替わりのトリックを使って明智探偵に偽者を掴ませ、自分は変装して逃げ出した。
行き着く先は秘密の隠れ家奇面城。しかし二十面相の持つ変装用の道具の入った鞄には、チンピラ別働隊のポケット小僧が忍び込んでいた。
いったい奇面城とはどこにあるのだろうか。単身尾行したポケット小僧の運命は…

19 夜光人間
少年探偵団の肝試しの会、夜更けの屋敷町の寂しい道、深夜の墓地などに白く光る顔に赤い目、口から火を吹いた不気味な夜光人間が現れ、少年探偵団や人々を脅かした。
そして、その夜光人間がついに挑戦をしてきた。世田谷の若い実業家杉本氏の持つ推古仏を奪うというのだ。夜光人間が直接杉本氏を訪れ、渡した名刺に夜光塗料で予告文が書かれていた。
あいにく 仕事で出張中の明智探偵に代わって小林少年が杉本氏の屋敷に張りつき、警戒することになった。ところが深夜、夜光人間が予告した時間になると、部屋の窓外にいくつもの夜光人間の顔が現れては消え、それに小林少年と杉本氏が気を取られている間に推古仏は盗まれてしまった。
次に夜光人間が狙ったのは赤森家の白玉の仏像。大胆にも夜光人間は明智探偵事務所に現れ、留守を守る探偵の少女助手マユミにその盗みを予告したのだった。
再び厳重に警戒に当たる小林少年と警官隊。そこに、待ちに待った明智探偵が出張から帰り、その足で駆けつけてきた。ところが、明智探偵はいきなり小林少年に事務所の戻るように指示した。自分ひとりで白玉の仏像を守ると言うのだ。
そして仏像と共に鍵をかけた部屋に閉じこもった。夜光人間が予告した時間になると庭先にまたも光る首が現れ、それが明智探偵がこもる部屋に向かってふわふわと飛んでいき、消えてしまった。
その直後、部屋の中からは争うような音がした。部屋の外で見張っていた警官が心配して外から声をかけ、ドアを開けようとするが中から鍵がかけられびくともしない。
合鍵でドアを開けやっと中に入ると明智探偵は気絶し、白玉の仏像は盗まれていた。完全な大失敗と明智探偵はしょげ返り、憔悴して赤森家を去った。
ところが明智探偵が向かったのは事務所ではなく、屋敷町に建つ古い二階建ての西洋館。夜光人間が明智探偵に変装し、白玉の仏像を奪ったのだ。
しかし聡明な小林少年は、明智探偵に事務所の戻るよう指示を受けたときから不審を感じて、手配りをして偽明智探偵の後をつけ西洋館を突き止めた。
前後して出張先から到着した本物の明智探偵も西洋館に乗り込んできた。本物と偽者の二人の明智の対決が始まったが、これほど名探偵の変装が上手くできるのは世界にも一人だけ。その名は怪人二十面相…

20 塔上の奇術師
東京の外れに大きな時計塔を持つ西洋館があった。その西洋館はその昔に日本一の時計屋が建てたものだったが、現在では空き家になり、時計屋敷とかお化け屋敷といわれ荒れ果てていた。
その時計屋敷の時計塔の上に黒いマントを羽織り頭から角が突き出た西洋の悪魔のような人物が現われた。これを皮切りに時計屋敷の周囲で奇怪な事件が起きる。
時計屋敷の近くの実業家淡谷氏の屋敷では、黒マントの怪人が何回か目撃され、淡谷氏の所有する24個の高価な宝石が怪人に奪われた。もっとも一度は奪われたが、淡谷氏の娘が明智探偵の助手のマユミに弟子入りしていた関係で、小林少年が淡谷邸に泊まりこんでいて、その機転で最後には宝石は取り返すことが出来た。
それから暫くして時計塔のある西洋館は実業家園田氏が買い取り、内部に手を入れて自分の住まいとした。すると今度は時計塔に赤い道化師が現われ、時計屋敷に奇怪な出来事が立て続けに起きた。
西洋悪魔も赤い道化師もその正体は怪人二十面相。この事件では明智探偵はほとんど出張中で、小林少年が活躍。明智探偵は最後の最後に二十面相と対決する場面に現われる。

21 鉄人Q
街中の小さな公園に現われる白髪頭の老人が精巧なロボットを発明したという。そのロボットは人間同様に歩き、しゃべり、考えもした。計算はあっという間だし、将棋も強いという。
北見少年はその老人に連れられ、ロボットの実物を見せてもらった。それは老人の言うようにかなり精巧なものだった。老人はロボットを鉄人Qと名付けていた。
鉄人Qは老人との将棋の最中に突然怒り出し、老人に馬乗りになって暴行を働いた。一緒にいた北見少年が交番に走り警官を呼んでくると、老人は危うく殺されそうになったが、すんでのところで逃げていってしまったと言った。
感情を持たない鉄人Qが市内に出てしまい、どんな事件を引き起こすかはわかったものではない。警察の手で捜索が開始されたが鉄人Qの行方は知れなかった。
鉄人Qは市中で少女を攫ったり、銀行強盗を働いたり、宝石店から宝石を盗んだりしたが、そのたびに警察は捕獲に失敗した。ほかの事件で出張中の明智探偵の留守を預かる小林少年も、鉄人Qに振り回された。
しかしついに鉄人Qのアジトが見つかった。そのアジトを発見したのはチンピラ別働隊のポケット小僧。しかしポケット小僧は鉄人Qに捕らえられてしまった。
鉄人Qの正体は怪人二十面相。この事件でも明智探偵はほとんど出張中で、小林少年とポケット小僧が活躍。明智探偵は最後の最後に二十面相と対決する場面に現われる。

22 仮面の恐怖王
上野公園の蝋人形館から鉄仮面に化けた二十面相が歩き出し、少年探偵団員を驚かし、さらに有馬家の宝物星の宝冠を盗んだ。
有馬家の依頼で危急を知った明智探偵が事務所を出ると、そこには二十面相の部下が待ち構えて、明智探偵を誘拐してしまった。
二十面相の隠れ家に連れ込まれた明智探偵だったが、機転を利かせ脱出に成功し、しかも星の宝冠も取り返してした。完敗を喫した二十面相は今度は黄金仮面に扮し、片桐家が所有する国宝の仏像を狙う。
そのために偽の電話で小林少年以下少年探偵団をおびき出して閉じ込め、堂々と片桐家に乗り込んだ。しかし小林少年たちは機転を利かせて脱出し片桐家に駆けつけ、明智探偵と共に二十面相を追い詰める。
再び完敗を喫した二十面相は何とか脱出した。その後一週間ほどして小林少年とチンピラ別働隊のポケット小僧は街中で偶然に車を運転する黄金仮面を見かけ、その隠れ家を突き止めるべく黄金仮面の車のトランクに隠れたが…

23 電人M
タコのような格好をした不思議な生物が東京タワーに現れたのを皮切りに、東京のあちこちに現れた。それと同時に電人Mと名乗る鉄で出来たロボットも東京に姿を見せた。
タコのような生物がいなくなった後には、月世界旅行をしましょうと書かれた紙が置かれていたし、電人Mも同じ紙をばら撒いた。これはなんと東京郊外に出来た人工月世界、今で言うテーマパークの宣伝だった。人工月世界は、これらの宣伝がきいて連日大入り満員だった。
一方、発明家の遠藤博士のところに世界の要人達の使節がひっきりなしに訪れていた。遠藤博士が研究していた、ある重大な発明が完成したらしいのだ。それは何かは誰も知らなかったが、使い方一つで簡単に世界を征服できるものらしい。
これに目をつけたのは電人Mで、遠藤博士の自宅に姿を見せ、ついには遠藤博士の息子治郎をさらい、発明の秘密を聞き出そうとした。
この事実を聞いた明智探偵はさっそく遠藤邸に向かい、悪人の陰謀を暴く。悪人は遠藤博士の助手に成りすましていたのだ。その悪人の名はもちろん怪人二十面相。
正体を見破られた二十面相だが、遠藤博士の発明を諦めるようなことはしなかった。空に脱出する得意の方法で逃げ、治郎を人質に遠藤博士を脅すのだった。そして、その隠れ家は人工月世界の近くにあるらしかった。

24 二十面相の呪い
二十面相の呪いと黄金の虎の二篇を所収。
二十面相の呪い……二十面相が狙ったのは古代研究所のエジプトの部屋の収められた、古代エジプトの経文を書いた巻物。トリックを使ってその巻物を見事に盗み出す。
さらに恩田家にある真珠をj散りばめたゾウの置物に目をつけ、これもトリックで盗み出そうとするが、直前で小林少年に邪魔をされて失敗し、逮捕されてしまう。しかし二十面相は奥の手を用い、脱走隠れ家に逃げ込むが…。カーの作品に用いられたトリックが使われている。
黄金の虎……こちらは二十面相が登場しない。魔法博士と名乗る人間から、少年探偵団が挑戦を受ける。魔法博士が所有する黄金の虎という宝物を少年探偵団がどこかに隠す。
それを魔法博士が奪い返しそれをどこかに隠す。2ヶ月以内にそれを少年探偵団が探し出して再び奪い返す。少年探偵団が成功すれば黄金の虎は少年探偵団に寄贈するという。
明智探偵の許しを受けて挑戦を受けた少年探偵団だが、魔法博士の方が一枚上手。最後には小林少年が捕らえられて魔法博士の隠れ家の牢獄に監禁されてしまう。
魔法博士は牢獄に入った小林少年に、そこから5日以内に黄金の虎を奪えるかと言い、小林少年は再度挑戦を受ける。ある外国の作品のトリックが使われている。

25 空飛ぶ二十面相
空飛ぶ二十面相と天空の魔人の二篇を所収。
空飛ぶ二十面相……Rすい星というネジのような尾を持った不思議なすい星が現われ夜毎に空に光っていた。不気味なすい星は地球と衝突するかもしれないと世間を賑していた。
そんなある日のこと、千葉県の海岸にカニのお化けが現れ、Rすい星からやって来た宇宙人だと言って去っていった。その後カニのお化けは少年探偵団の井上少年の前で消えて見せたり、井上少年を透明にして捕らえ監禁してしまった。
さらに古美術の大家古山博士が持っている推古仏を奪ってしまう。それにも飽き足らず、さらに古山博士が館長をしている岩谷美術館の美術品を丸ごと盗んでしまった。
一方監禁された井上少年を餌に、カニのお化けは小林少年のおびき寄せることに成功するが…
天空の魔人……二十面相の明智探偵も登場しない短篇で、長野県の温泉にやってきた小林少年と探偵団の井上、野呂の両少年は、 村の人間から恐ろしい話を聞いた。
空から大きな手が現れて牛の足を折ったり、野菜を盗んだりすると言うのだ。そんな話を聞いたのち、井上と野呂の2人の少年の目の前で白犬が魔人の手につかまれたように空中に吊りあがっていった。
さらに、村の少年が高い木の上で発見され、聞いてみると魔人の手で木の上まで持ち上げられたと言う。そして魔人はある夜貨物列車を襲い、その中の美術品を積んだ一両を盗んでしまった。
貨物列車が走っている最中に誰にも気づかれずに真ん中の一両を抜き取ってしまったのだった。これもある外国の作品のトリックが使われている。

26 黄金の怪獣
少年探偵団シリーズの最終作で、この作品を発表して2年後に乱歩は没した。
19世紀半ばに生まれたという怪老人ニコラ博士は、人間の複製を作る術を知っていた。その術を使って宝石王玉村銀之助一家の全員を誘拐し、偽者と入れ替えてしまう。
ニコラ博士の狙いは、玉村氏の知名度を利用して全国の名だたる宝石を一堂に集める展覧会を開いて、全ての宝石をイミテーションと入れ替えることだった。
そして、あろうことかその計画の邪魔になる、小林少年と明智探偵の偽者を作り、2人を偽者と入れ替えることを計画、小林少年を罠にかけて捕らえ偽者と入れ替えることに成功した。
さらに北海道旅行から帰った明智探偵も誘拐して偽者を送り込み、その偽明智を使って園田氏の持つダイアモンド青い炎を奪ってしまった。
しかし、その間にニコラ博士の隠れ家では、博士の秘密が暴かれていた。ニコラ博士の正体はもちろん怪人二十面相。そしてその恐るべき秘密とは…


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