流れる星
Falling Star 1964
HPB904

事件の舞台は映画の撮影現場。世界的大女優をはじめとする個性的な人々のなかで起きた事件に、素人プロデューサーは友人のヘンリ・ティベット警部に助けを求めたが…
ノースバーン映画では、大作「街の風景」の撮影が順調とは言い難い状況で行われていた。金をつぎ込んで、今回の映画をプロデュースしているバッジことクルームビー・ピーターズは気が気ではなかった。
ただでさえ予算を越えて金が出ていくのに、天気が悪くて撮影は延び、現場に口出しをすれば嫌がられ、イライラがつのってばかりだった。毎日のように監督サム・ポトマンや美術のキース・パードゥとやりあっていたが、最大の原因は世界的大女優フィアメッタ・フェティニにあった。
フィアメッタはわがままで、少しでも気に入らないと撮影を拒否した。文句を言えば、周囲にあたりちらし、監督たちが間に入ってフィアメッタの肩を持った。そのたびにバッジのストレスは増すのだった。
そしてクライマックスシーンの撮影の日を迎えた。フィアメッタ扮する街の女をボブ・ミーキン扮する大学教授が追いかけまわすシーンだった。撮影は廃止された地下鉄の駅で、本物の電車を借りて行われた。
フィアメッタが階段を下りてきて、電車を待つ乗客たちの間に紛れ込む。それを追ってミーキンが階段を走り降りてくる場面だった。撮影は無事に終わったのだが、現像したところ光が入ってしまっていた。撮り直しになった。
その撮り直しの場面、階段を駆け下りてきたミーキンはプラットフォームで腰が砕けて足を踏み外して線路に転落し、そこに入ってきた電車にひかれてあえない最期を遂げた。主演男優が死んでしまったのだ。
すでに大半の場面は撮り終わっていたために、これで「街の風景」はお蔵入り確実と思われたが、バッチはこういう時のために保険に入っていた。自殺や殺人でなければ、損失は保険で賄えるのだ。それは新たな男優を起用して、撮り直すことも可能ということだった。
検死審問が開かれてミーキンの死は事故ということになった。これで映画の方はひとまず安心だったが、事件はそれにとどまらなかった。撮影再開の直後に、スクリプトガールのマージェリー・フィップスが退職届を送りつけてきたうえ、自分の住むマンションのフラットから転落死したのだった。
Patricia Moyesのメインページにもどる
Mystery Collection Mainへもどる


Last modified -