死人はスキーをしない
Dead Men Don't Ski 1959
ハヤカワミステリ文庫

モイーズのデビュー長篇で、趣味のひとつであるスキーを題材にして、自分の愉しみのために書いたといわれる作品。スキーリゾートの長いリフトの途中での殺人事件という、一種の密室殺人を解き明かすのはシリーズ探偵のティベット主任警部と妻のエミーでリゾート地の風俗がうまく取り入れられた作品といえる。
オーストリアとの国境にほど近いイタリアのスキーリゾート、サンタ・キアラにやってきたヘンリ・ティベット主任警部とその妻エミーだが、2人は一見休暇を装っていたが、実は密命を帯びていた。
この地にある唯一のホテル景観荘に国際犯罪の匂いがあり、探りを入れるというのが本当の目的だった。2人のほかにジミー・パッセンデル、ロジャー・ステインズ、キャロライン・ホイテカーという3人の若者やアーサー・バックファスト大佐とその妻のロザモンドが英国からずっと一緒の旅をして景観荘に落ち着いた。
さらに景観荘にはフォン・ウルトバーク男爵とその妻のマリア・ピア、フリッツ・ハウザー医師、ドイツ人のクニッペル夫妻とその娘トルーディ、イタリアの青年フランコ・ディ・サンティらも滞在していた。
景観荘は山の頂にあり、ふもとの村からは長いリフトを使って登る。リフトはホテル専用ではなく、ゲレンデようでもあったが、朝から夜7時までが稼働時間で、それ以外は運転されていなかった。
皆はスキーが必ずしもうまいというものばかりではなく、初めてスキー場に来たという者もいた。かくいうティベット警部もほとんどスキーの経験はなく、まったくの初心者だった。
スキーの未経験者や初心者はスクールに入った。地元の青年ピエトロ・ヴェスピがスクールの教師だった。ピエトロは両親とふもとの村で暮らしており、父親のマリオは景観荘側のリフトの係員であり、客や村人から親しまれていた。
ティベット警部は、景観荘が国際的な密輸組織の拠点になっているのではないかと考えており、客やホテル側の人間を注意して観察し始めたが、一方ではスキーを楽しんでいた。そんなとき、果たして事件が起きた。
リフトで降りてきたフリッツ・ハウザー医師がピストルで胸を撃たれて死んでいたのだ。マリオの証言ではハウザー医師は数日外出するためにリフトに乗り込んだが、30分後にふもとに着いた時には死体となっていた。ふもとで異変に気づいたのはリフト乗り場にいたティベット警部だった。
途中ですれ違った登りのリフトの客は、具合の悪そうなハウザー医師を目にしていたが、すれ違いざまに撃ち殺したとも思えなかった。地元警察のスペッツィ署長はティベット警部に協力を求めた。
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