新・本格推理03・りら荘の相続人

新本格推理2003年版。小貫風樹氏は3作同時入選の快挙。
とむらい鉄道   
小貫風樹
全国赤字路線安楽死推進委員会と名乗るテロリストが、赤字ローカル鉄道に爆弾を仕掛けては列車を脱線転覆させ、多くの死傷者を出していた。
赤字に悩むローカル線に爆弾を仕掛けて爆発させ、補修や補償費用に耐えられなくして廃線に導き、少しでも早くローカル線を安楽にしてやるというのがテロリストの言い分だった。
春日華凛は山中を走る赤字ローカル線に乗り、終点に住む親戚の葬儀に行くが、その帰りの車中でに眠ってしまったあげく慌てて途中下車してしまう。
しかもその列車が最終で、山中の村で途方にくれる。そこに一人の青年が現れるが、その青年は全国赤字路線安楽死推進委員会委員長のことを追っていると言う。
するとテロリストがこの山中のローカル線を狙っているのだろうか?あるいはその青年がテロリストではないのか?華凛は村の旅館で考え込み、ふと外を見ると青年が深夜外出して帰ってくるところだった。まさか夜外出して爆弾を仕掛けてきたのでは…

悪夢まがいのイリュージョン    
宇田俊吾・春永保
前作「湾岸道路のイリュージョン」の続編。湾岸道路のイリュージョンで消えた車を運転していた男が警察に出頭して逮捕された。男は外務省職員の水並といった。
水並はマンションの自室で女を殺し、その死体をスーツケースに詰めた。深夜の山中で事故に見せかけようとして、駐車場から車で山中に向かう。もちろん死体入りスーツケースは車のトランクに入っていた。
その途中で交通事故を起こし、その後湾岸道路のイリュージョン記載の事件が起きた。その後、水並は死体遺棄現場に何とかたどり着き、トランクを開けるとそこからスーツケースが消えていたのだった。
しかも何とかたどり着いたマンションの自室では、殺した女の死体が椅子に掛けて水並を迎えた。水並は完全に錯乱して警察に自首して来たというわけだった。

作者よ欺かるるなかれ    
園田修一郎
作中作もので、チェスタトンの見えない人に挑戦したと言う小説に挑戦する。春休みの大学の工学部の建物で起きた殺人事件。被害者は文学部の学生で警備員の前を通り、工学部の中に入っていった。
春休みのことで建物の中に人は少なく、被害者を含めて警備員に全人員は把握されていた。いつまでたっても出てこない被害者を警備員が捜すと、4階の窓から墜落していた。状況からは他殺としか思われない。犯人は…

稷下公案    
小貫風樹
中国の戦国時代の末期、斉国の首都臨?には宰相孟賞君に養われる大勢の食客、そして稷下の士と言われる多くの学士が集まっていた。
学士の親玉、最古参の淳干コンが邸の厩で死んだ。死の直前に厩からは大音響がして、淳干コンの体は大きく重いものに押しつぶされたようになっていた。だが他には厩の中に変わったところはなく、何物が淳干コンを押しつぶしたのかわからなかった。

Y駅発深夜バス    
青木知己
都心のY駅の近くで日曜から月曜に日付が変わる頃、坂本康明は自宅近くのG駅を通る深夜バスに乗り込んだ。深夜バスは0時10分と1時10分の2本が運行されており、坂本が乗り込んだのは1時10分発の方であった。
S駅始発のバスにY駅から乗ったのは坂本一人で、坂本はバスから降りてきた係員に料金を払い指定された一番前の座席に座る。すぐに眠ってしまい、気づくとバスは深夜のパーキングで休息していた。
尿意を覚えた坂本がトイレに行くと、照明を落として真っ暗になった休息所の建物で、多くの人たちが空の一点を見つめる不気味な光景に出会う。あまりの不気味さに坂本はバスに駆け戻り、やがてG駅に着いた。ここで降りたのも坂本一人。
坂本はマンションに帰り着き、風呂に入って寝てしまう。翌朝、妻に深夜バスの話をすると坂本が帰り着いたのは2時ごろで0時10分のバスで帰ってきたのだろうと言われた。
坂本は反論するが、妻から1時10分のバスは土曜・休日運休と告げられ酒を飲みすぎての勘違いと納得する。だが…

ポポロ島変死事件    
青山蘭堂
アフリカ中西部のS国のラジオ局に招待された5人。日本人のミステリ作家青山蘭堂のほかに、女好きのフランス人の放蕩青年、酒好きのドイツ人の医師、厳格なアメリカ人の女教師、中国人の若い女性。
5人は大西洋に浮かぶポポロ島に観光がてら1泊する。ポポロ島は熱帯雨林に覆われて、原住民ハラマカ族が暮らす未開の島であった。やがて事件が起きた。
2メートルほどの崖上から叫び声とともにフランス人の青年が海に落ち、浅瀬の岩で頭を打ったのかそのまま帰らぬ人となったのだ。
この青年は最初からイタズラや放言でほかのメンバーと諍いを繰返し、島に上陸したときもハラマカ族の神の木像に唾を吐きかけてハラマカ族の怒りを買っていた。フランス人青年は神に呪われたのだろうか…

夢の国の悪夢    
小貫風樹
木造のジェットコースターなどスリリングな乗り物を多く集めた遊園地「ウィルス・シティー」のマスコット・キャラクターは、どぶねずみをモデルにしたウィルス・ラットとウィニー・ラット。
軽量だが硬質の着ぐるみを被らされた男女が常にペアで行動し、園内を巡っていた。着ぐるみは9体あり、園内を9区画に区切って交代で園内を巡り、巡っていないときはキノコ型の休息所にいる。
その休息所の一つで事件が起きた。園内を巡り終わったペアが休息所の扉を開け、ウィルス・ラットが入り、そのすぐ後にウィニー・ラットが続いた。
そこでウィニー・ラットが見たものは休息所の階段の下に転がったウィルス・ラットの無残な死体。ウィルス・ラットは着ぐるみを着たまま首をスパッと切られていたのだ。
しかもウィルス・ラットの着ぐるみには血痕はほとんど付着していなかった。わずかな間に犯人はどうやってウィルス・ラットの首を見事なまでに切り落としたのか?

聖ディオニシウスのパズル    
大山誠一郎
新興宗教聖ディオニシウス教団は来栖聖人をトップに、その下に司祭として足利、前野、麻生、小早川の4人、さらにその下に40人の助祭がいるというようなピラミッドを構成していた。
小早川司祭の兄は教団が妹を洗脳しているとして、教団から妹を救出すべく探偵榊浩介に依頼。ちょうど教団では瀬戸内海の孤島瀬印島で聖人と4司祭が2週間の合宿に入っていた。
榊は小説家の友人沢口を助手にしてゴムボートで瀬印島に上陸するが、監視の衛視に見つかって2人は地下室に閉じ込められる。その夜、来栖聖人が首を切られて殺された。
教団施設の冥想の間の聖人専用の椅子に座らされて、両手で聖ディオニシウスの伝説どおりに自身の首を捧げ持っている聖人の死体は、翌朝発見される。
司祭たちの相談により犯人探しが榊探偵に依頼された。衛視のアリバイは完璧だし、衛視の監視があるために外から島への上陸も不可能で、結果的に犯人は4人の司祭の誰かであることは間違いないのだが…


本格推理のメインページにもどる
Mystery Collection Mainへもどる


Last modified -