新・本格推理01・モルグ街の住人たち

二階堂黎人編集長になって新たなスタート。今回から上限100枚以内と従来の倍となった。
風変わりな料理店   
青山蘭堂
鳥取の温泉に保養に来た名探偵のところに、かつて扱った事件の思い出を話にやってきた元刑事。その事件とは30年前に地元にあったフランス料理店のシェフが、ある日1万人目の来客記念として肉のコース料理を来る客ごとに無料で提供し始めたのが発端だった。
その料理を食べた刑事は、シェフの不思議な行動に疑問を抱き、さらにシェフが日本人の妻と仲が悪くてしょっちゅう暴力を伴う喧嘩をしていたこと、その妻が行方不明になっていること、料理の中から女の髪の毛や爪が出てきたことなどから、妻を殺して肉料理として店で無償提供していると推理する。
そして店を家宅捜索すると血まみれのブラウスや包丁が出てきて、警察はシェフを殺人容疑で逮捕するが…

竹と死体と    
東篤哉
昭和11年2月27日付けの関東新聞を発見した大学生2人。その新聞には20メートルの大竹で首吊自殺した老婆の記事が出ていた。しかも老婆が首を吊ったのは、地上から17メートルの場所。物理的に老婆はどうやってそんな高いところで死んだのか…

時刻表のロンド    
網浦圭
推理作家のところに送られてきたミステリー作品。それは自作の時刻表を使ったトラベルミステリーで、問題編しかなった。そのストーリーは、ある駅から始発の特急に乗った男が、その特急を見送った女を5時間後に特急の始発駅の近くで殺すのだが、男が乗った特急の最初の停車駅で折り返しても、女が殺された時間には絶対に始発駅に戻ってこれないというものだった…

水曜日の子供    
井上宗一
ある男が妻を殺した。アリバイというより、その日の男の行動はごく自然であり、積極的なアリバイはないが、妻殺しの犯人にはなり得なかった。
ところが男が予期せぬことには、男の家に空き巣が入り、警察は男が望まないのに空き巣を妻殺しの犯人として追い始めてくれた…

暗号名「マトリョーシュカ」    
長谷川順子・田辺正幸
帝政ロシアの秘密警察オフラーナは、スイスのジュネーブに亡命している社会主義者レーニンことウリャーノフの暗殺を決意し、ドイツの国境警備隊に派遣され拳銃とナイフの扱いをこまれた「マトリョーシュカ」に、ウリャーノフ暗殺の指令を発した。
一方このことを知ったジュネーブの社会主義者のアジトでは、誰が「マトリョーシュカ」かわからない中で警戒を強めるが、同士セルゲイが火をつけられて部屋から転落死する。
セルゲイの部屋は中からかぎと閂が掛けられて出れも出入りできない状態であった…

ガリアの地を遠く離れて    
瀬尾こると
1913年のパリに集う芸術家達。中原新吉もその中の一人であった。新吉はロジェ美術館にあるオランダの画家バルトロメウスの「ふりむく女」に感動し、その模写を始めた。
そのためにロジェ美術館に足繁く通い、館長や副館長、門番とも親しくなった。雨に降るある日、新吉は美術館で「ふりむく女」のモデルそっくりな女性を見かけ、声をかけて地下鉄まで送っていく。
その間に閉館した美術館では「ふりむく女」の盗難事件が起きていた。状況から犯人は窓を割って侵入したように装っていたが、実は内部に詳しいものの犯行と思われた。そして疑われたのは新吉。
新吉はアリバイを主張し、「ふりむく女」によく似た女性を捜し始める。その女性の正体がやっとわかったとき、その女性は場末のホテルで全裸死体となって死んでいた。新吉には殺人の疑いも懸かってしまった。

白虎の径    
榿島和
新婚の青野杏奈は夫の律とともに新居のある大分から特急列車で博多に向かう。博多では2人揃ってホテルに向い、律がチェックインして2人はツインルームに入る。
シャワーを浴びたり休息した後2人は博多駅に向かう。2人はここで分かれ律は同窓会へ出席し、杏奈は居酒屋に入る。同窓会が終わって律は友人を連れて杏奈の待つ居酒屋に合流し、新婚を囲んで飲み明かそうという計画だった。ところが律は待てど暮らせど居酒屋に来ない。
待ちくたびれた杏奈がホテルに戻り、部屋を開けるとそこはシングルルーム。パニックになった杏奈がフロントに問い合わせると杏奈は1人でチェックインしたという。
さらに大分に電話をすると、その電話には律が出て夕方から行方がわからなくなった杏奈を捜していたという。杏奈が律と博多に来たのは妄想だったのか…

東京不思議DAY    
園田修一郎
サトウキビ畑の一角に建つ倉庫は二重構造になっていて、1つしかない両開きの扉を開けると農機具置き場になっていて、さらに横開きの扉があってサトウキビの貯蔵室になっている。
貯蔵室には地上から4メートルほどのところに採光用の窓が、農機具置き場との間に小窓があるが、どちらも物理的に人の出入りは不可能。
扉にはどちらも外側にのみ南京錠があり、締めるのは鍵なしでできるが開くためには鍵がいり、内側からは絶対に開けられない。
この倉庫の農機具置き場にナイフで刺された刺殺死体が、貯蔵室に餓死死体が見つかった。どちらも死後1ヶ月ほど経過していた。
それから10ヵ月後、この事件の目撃者が東京の警察に出頭した。その男は死体の2人が争うまで数日間貯蔵室に監禁されており、いきなり貯蔵室の扉が開くと2人が取っ組み合いを始め、その隙に倉庫から逃げ出したのだという。
逃げる際に表の両開きの扉の南京錠をかけてきたので、少なくとも餓死者の方には責任があると考えて自首してきたのだという。
なぜ今になって自首してきたのかと問うと、その男は町中の人間が自分に罪の告白を強要しだしたから、と意味のわからぬことを言い出した。


本格推理のメインページにもどる
Mystery Collection Mainへもどる


Last modified -