本格推理マガジン・硝子の家

「本格推理」シリーズ特別編第二弾。幻の名作と銘打って、島久平「硝子の家」(長篇)、山沢晴雄「離れた家」(中篇)、天城一「鬼面の犯罪」(短篇)とヴァン・ダインの探偵小説作法二十則、ノックスの探偵小説十戒、山前譲による必読本格推理三十編を収録。
硝子の家   
島久平
推理小説専門誌「宝石」が1949年に募集した百万円懸賞の三等入賞作品で、島久平の代表作とされるが、その後単行本化されず、雑誌等に再録もされなかったために幻の傑作といわれる。

理学博士で日本一の硝子会社の社長にもなった大峯幸一郎は、愛知県知多半島の先端に硝子の家と呼ばれる建物を建てて、一年の半分以上をそこで過ごした。
硝子の家とは外に面した部分がほとんど硝子で作られた奇妙な屋敷で、ここには幸一郎博士のほかに篠という手伝いの女とその娘時江、それに下男の熊吉が住んでいた。
その幸一郎博士が遺言を書き換えると言うので、弟の医学博士大峯幸次郎と甥の大峯幸之進が呼ばれて硝子の家に行った。
そのときに幸之進は元大阪府警の警部で、現在は私立探偵として有名な伝法義太郎を伴っていた。幸之進は伝法の元を訪れ完全犯罪で叔父の幸一郎博士を殺すと伝法を挑発したのだ。
硝子の家に着く幸次郎は伝法をそれなりに扱ったが、幸一郎は伝法にすぐに立ち去るように厳命した。しかhし、夜遅くなってしまったために伝法は硝子の家に泊まることになってしまった。
夕食が始まる時に幸次郎が幸一郎に呼ばれ、その夕食が終わる頃に時江が幸一郎博士の様子がおかしいと言いにきた。早速皆で幸一郎の部屋に行くとドアには鍵がかかり中の様子をうかがい知れない。
最後はステンドグラスを模したドアを破ることになり、そこで幸一郎博士の死体を発見する。幸一郎博士は背中からナイフで刺されて死ぬ寸前だった。そして抱き上げた伝法に対し幸一郎は「幸次郎にやられた」といいい、伝法の腕の中で死去してしまう。
その後改めて確認されたが、幸一郎博士の部屋は完全な密室であり、さらに幸一郎を刺したナイフにはトリカブト系の毒が縫っていたらしい。
伝法警察からの要請もあって事件に深く関わることになが、幸一郎殺害事件の方は進展せずに、変わって幸之進が地下鉄のホームから突き落とされ、電車にはねられて死んでしまった…

離れた家    
山沢晴雄
1963年の第2回宝石中篇賞の候補作品で、山沢作品の中でも複雑難解といわれる。本格推理マガジン再録に際して大幅に改稿されたという。

大阪市内N区の金融業者馬場欽造の事務所で、欽造の絞殺死体が見つかった。警察に事件を報せる匿名電話が入ってきたために、警官が急行して発見したものであった。
死亡推定時刻は発見が早かったことや、事務所の人間の証言などから午後7時40分前後と推定できた。
そして容疑者として被害者の血の繋がらない甥の細川亮吉が浮んできたが、亮吉にはその時間麻雀をしていたというアリバイが成立した。
一方ほとんど同時刻に市内ではもう1つ不思議な殺人事件が起きていた。奇術好きな女性が部屋に複数の人間を呼んでトランプをしている最中にテレポーテーションを行い、直後に車でも15分ほどの距離の別の部屋で死体となって発見されたのだ。
2つの事件は解決が長引いたが、ひょんなことから両事件の間に関連があることがわかった…

鬼面の犯罪    
天城一
石月硝子工業社長でガラス工芸家である石月龍一は、代々石月家に伝わる鬼の面の伝説に脅えていた。そして、ある夜、書斎の壁にかけられた鬼面の朱光が走るのを見たと言い、遺言書をしたためて翌日の夜に書斎に引きこもった。
妻と弟が心配をして書斎の扉の前に陣取り1時間ごとに中を覗くことにした。そして夜8時書斎の中を見た時、鬼が白刃を振り下ろし龍一に襲い掛かっていたのだ。室内には人影はなく、もちろん部屋に出入りした人間もないはずでが…


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