堕天使殺人事件

二階堂黎人、芦辺拓両氏が呼びかけた新世紀「謎」倶楽部によるリレー長編。執筆は二階堂黎人→柴田よしき→北森鴻→篠田真由美→村瀬継弥→歌野晶午→西澤保彦→小森健太朗→谺健二→愛川晶→芦辺拓の順で、事前の打合せや全体の打合せは一切なし、真相や伏線に関する質問禁止で前任者から引き継いで2週間以内に執筆するというルールのもとに書かれた。

トップの二階堂黎人は悪魔の犯罪の章題で、北海道小樽の運河で小舟に乗せられた女性の死体が発見されるというシーンから物語は始まる。
死体は頭部、胴体、両腕、両脚がそれぞれバラバラにされたうえで縫合され、ウェディングドレスを着せられていた。さらに驚くことにその6つのパーツが、それぞれ別人のものであることが判明する。
一方仮名文字新聞札幌支局に堕天使と名乗る人物から犯行声明とともに、1本のビデオテープが送られてきた。そのテープには女性がチェーンソーでこん睡状態のまま解体されるシーンが写されていた。
その翌日、苫小牧市郊外の林の中で1台のマイクロバスが見つかった。本州から休暇で来ていた家族が、偶然に見つけたものだったが、そのバスの中では8人の若い男とバス運転手が死んでいた。
いずれも額の中央に穴をあけられており、さらに車内の様子からバスには、ほぼ同数の女性が乗っていたらしいことが判明する。

まさに二階堂らしい猟奇的な雰囲気のなかの魅力的な謎であるが、この後はどうとでも料理できそうな謎でもある。
参加者は自分の書き終わった後の展開をどう予想したかを、あとがきに代えて付録してあるのだが、二階堂は4つの家族が遺産に絡む凄惨な争いを繰り広げるというのがバックで、札幌市内の廃ビルで3人の女性の首なし死体が見つかるという構想だったようだが、当然そうはならず以後の執筆者により、事件は京都に飛び、岐阜に飛んで、各々ウェディングドレスをまとった縫合された女性死体が立て続けに見つかる。
さらに密室殺人や真言立川流の流れをくむ宗教等々まで現れて…でも最後は芦辺氏が拡散し、複雑化した物語にきちっとオチをつけ、さらに見せ場まで用意したのは流石。
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