Killer X

黒田研二、二階堂黎人による合作品で初出時はクイーン兄弟のペンネームだった。

小樽郊外の人里離れた山中にあるシゲルちゃんこと立原茂の住居深雪荘。茂は元高校教師で、そこに教え子たちが集まった。3月24日の土曜日のことだった。
ミステリ作家の本郷大輔、テレビ局のディレクター服部雅巳、幼稚園の保父の遠藤光彦、元学級委員長佐伯ユミ、医師の田淵優の5人の教え子に光彦の甥で幼稚園児の馬場明夫が加わっていた。
5人の教え子は茂からスキーツアーを兼ねた同窓会を開きたいとの招待状を貰い集まったのだった。実は茂は事故にあって下半身の機能と言葉を失っていた。
事故というのは、深雪荘の近くのリゾートで開かれた前回の同窓会の際に起きた。酔ってトイレに行った際に、階段から転げ落ちたのだ。その結果、下半身と言葉が失われていた。
茂は車椅子での生活となり、人と対応する時には仮面で顔の傷跡を隠した。茂には発明の才があり、莫大な特許料が入ることもあって、深雪荘は大改造された。
自動的に車椅子を感知して動くオートウォークガ廊下に設置され、階段の昇降も自動リフト、部屋には全てモニタも置かれていて、どこにいても不自由しないようになっていた。
茂の喉には振動素子が内蔵されたバンドが巻かれ、それが声帯の震えや呼吸の振幅を増幅し、ノワールと名付けられた黒猫ロボットに無線で伝達されて、茂の言葉として発せられた。
これも全て茂の発明によるものだった。茂の事故とその後のことは優しか知らず、他の4人は変わり果てた茂の姿を見て一様に驚いた。
やがて茂の口から発せられたのは「こんな大雪の中を、わざわざ来てくれるなんて…一体、私に、どんな話があるんだい?」

きょとんとする一同、そう茂は同窓会通知など出した覚えはなく、逆に皆が訪ねて来たいとの手紙をもらったというのだ。さらに集まった教え子たちに送られた招待状の文面も人によって違っていた。
誰が何を企んでいるのか…外は茂が言うように大雪で、深雪荘は孤立状態になっていた。吹雪が荒れ狂い除雪どころではない。しかも茂の障害のために、深雪荘には電話が設置されていなかった。
インターネットやメールを使っての通信手段が唯一だが、障害や事情で簡単には外部と連絡が取れない。まさに深雪荘は雪に閉ざされた山荘になってしまった。
一方、北海道内では札幌を中心にして突き落とし魔が跋扈していた。地下鉄のエスカレーター、公園の階段、マンションの非常階段、歩道橋、デパートの階段などでいきなり突き落とされる事件が続発した。
被害者は子供から大人まで、軽傷から大けが、中には打ち所が悪くて意識不明の状態が続いたりするケースもあった。目撃証言はあてにならず、被害者にも共通点はなく、通り魔的な犯行に警察は頭を痛めていた。すると茂の事故も実際は…


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