EPISODE26
自縛の紐
AN EXERCISE IN FATALITY
Guest Stars
ROBERT CONRAD
GRETCHEN CORBETT
PAT HARRINGTON
COLLIN WILCOX
ON AIR Sep 15.1974(USA) Dec 27.1975(JPN)
スタッフ
製作総指揮…ローランド・キブビー&ディーン・ハーグローブ
製作…エドワード・K・ドッズ
監督…バーナード・コワルスキー
脚本…ピーター・S・フィッシャー
音楽…ディック・デ・ヴェネディクティス
撮影…ウィリアム・クロンジャガー
美術…ジョン・W・コルゾ
キャスト
マイロ・ジャナス…ロバート・コンラッド
ジェシカ・コンロイ…グレッチェン・コルベット
バディー・キャッスル…パット・ハリントン
ジーン・スタッフォード…フィリップ・プランズ
ルース・スタッフォード…コリン・ウィルコックス

コロンボが犯人に対して怒る作品はいくつかあって、「溶ける糸」や「断たれた音」のように犯人を動揺させるような場合が多いが、この作品での怒りは本物。
犯人は全米チェーンの健康クラブの社長で、肉体美を誇る。しかし実際は表面とは裏腹に、会社の金を横領し、それを新しく来たオーナーに見つかりそうになると殺してしまい、オーナーの別居中の妻を精神的に追い込んでその妻は自殺を図るという卑劣な男。健全な肉体には健全な精神は宿らなかったようで…
完璧なアリバイ作りを目指した犯人だったが、過ぎたるは及ばざるがの例えどおり、アリバイに矛盾を生じ自ら墓穴を掘ってしまう。
本格推理としても見事なもので、考えオチ的なラストも面白く、個人的には好きな作品。
電話の録音システムを使った工作は現在から見ると子供騙しみたいだが、当事では画期的なものだったのだろう。 ドラマの中でコロンボが「電話を録音するなんて凄い」と驚くが、それを思うと電子機器や通信機器の発達には目を見張るものがある。
STORY
53歳にして肉体と健康を誇るマイロ・ジャナスは全米にチェーンをもつトレーニング・ジム、マイロ・ジャナス健康クラブの社長。しかしマイロは表の健康的なイメージとは違い、裏では自分の経営する別の会社から不当に高い料金で健康器具や事務機器をクラブに買わせて裏金を作り、ダミー会社を通じて海外に不正に送金していた。
新たに健康クラブのオーナーとなったジーン・スタッフォードは企業や国防省での監査役の経験から、マイロの不正を嗅ぎつけ帳簿を調べ証拠を集めにかかった。
チャットワースにある店のマネージャー、バディー・キャッスルからチャットワースの店のオフィスにジーンが陣取り帳簿類を調べているとの連絡を受けたマイロはさっそくチャットワースに向かい、ジーンと向き合う。
ジーンは絶対に証拠を見つけてやるとマイロを怒鳴りつけるが、マイロは取り合わない。しかしマイロの心の中ではジーン殺害の計画が素早く立てられていた。

オフィスから出たジャナスはジーン殺害計画の一環としてバディーに今晩自宅でパーティーをやるからと誘いをかけ、さらに自身の秘書のジェシカもパーティーに誘う。 このパーティーはジャナスのアリバイ作りには重要なものだった。
マイロが立てた ジーン殺害計画はこうだ。 マイロのオフィスでは、かかってきた全ての電話はジェシカによってテープレコーダーに録音される。 過去の録音されたものの中から「やあジェシカ、ジーン・スタッフォードだ。マイロいるかね」というジーンの声を、その部分のみ切り取る。
マイロの家には電話回線が2本、つまり電話番号も2つある。 ジーンをオフィスで殺害した後、自宅に戻ったマイロは映画を見ながら飲んでいるバディーやジェシカを部屋に残し、別室から電話をする。1つの番号から別の番号に、つまり自宅から自宅に電話をする。
別室にいる秘書の ジェシカが間違いなく電話を取る。そこでテープを廻し「やあジェシカ、ジーン・スッタフォードだ。マイロいるかね」というジーンの声を聞かせる。
当然ジェシカはマイロを呼びに来る。あとはマイロがジーンと話している振りをすればいい。 その会話は「パーティーをやっているが来たらどうか?・・・何、今からトレーニングをする・・・もうトレーニングウェアに着替えたって・・・気をつけて」という感じだ。
殺し方もその話に合うように決めてあった。ジーンの後ろから短い鉛管をのどにあてて窒息死させ殺害する。その後、ジーンをトレーニングウェアに着替えさせ、手を滑らせてバーベルを首に落としたように偽装する。
こうすればジーンはトレーニング中に誤ってバーベルを落とし、死亡したものとされるだろうし、殺人となっても自分にはアリバイができる。ジェシカを帰し自分のオフィスで一人になったマイロは、さっそくアリバイ作り用のテープの編集にかかる。 そしてオフィスにいるジーンのもとに向かう。

ジーンは中華料理の出前で食事を終 えて、コーヒーを飲みながら帳簿を調べていた。突然入ってきたマイロを見て驚いたようだが、マイロの不正の証拠が着々と固まっているので、マイロを告訴する方針だと告げる。
立ち上がってコーヒーメーカーからコーヒーを注ぎに行くジーンだが、マイロはそのチャンスを逃さずマイロに飛び掛った。 もみ合いとなり、いったんは逃げ出したジーンだがトレーニングルームで簡単に追いつかれ、マイロに鉛管を使って窒息死させられる。マイロは計画どおりにジーンにトレーニングウェアを着せ、バーベルを首にのせる。
その足で自宅に帰ると、バディーやジェシカを始め友人達がすでに集まっていた。 マイロは遅れた詫びをいい映写機を廻し映画を始め、計画通りに電話を掛ける。そして、せりふをいいアリバイを作った。
概ね予め計画したとおりに事は運んだが、マイロは気づかなかったいくつか細かい問題があった。
まず、こってりした中華料理をたらふく食べた後に、いきなり過激な運動を始めたことになってしまったこと。
次にオフィスでマイロとジーンがもみ合ったさい、コーヒーメーカーのコーヒーが床にこぼれ染みができたこと。つまりオフィスで何かあった痕跡が残ってしまったこと。
第三には、トレーニングルームのぴかぴかの床にジーンのこげ茶色の靴の後がついてしまったこと。
さらに、偽装に使ったバーベルが重過ぎて普通の人間には簡単に持ち上げられなかったこと。

翌早朝に現場に呼び出されたコロンボは、これらの小さなことから不信を抱き、社長のマイロの自宅に行く。マイロの自宅にはジェシカもいて、コロンボは2人にジーンの死亡を告げる。
驚く2人だったが、マイロはさりげなく昨夜の電話の話をする。コロンボは、その話に食いつき話の内容を尋ねる。 準備したとおりマイロは「トレーニングをするところだ。もうトレーニングウェアに着替えた」とジーンは言っていたと答える。
コロンボは次に別居中のジーンの妻ルースを訪ねる。ルースはジーンとは別居していたが、連絡は取り合っており、ジーンがマイロの事業に不信を抱いていたらしいという話をジーンがしていたと語る。

コロンボのマイロに対する疑惑は確信に変わった。だが、マイロにはアリバイがあった。そのアリバイを破るべくコロンボは行動を開始する。
マイロのオフィスに行きジェシカから話を聞くが、その時にちょうど外から電話がかかってきて、録音の事実をつかむ。さらにジェシカはジーンの最初の言葉を聞いただけで、実際に話したのはマイロだけだったことを知る。
コロンボが着々とマイロに迫る間に、ルースのところに一人の訪問客があった。興信所のルイス・レーシーと名乗るその男は、ジーンから頼まれてマイロの不正を調べていた。 ジーンが死亡した今、調査書類をルースのところに持ってきたのだ。
ルースはマイロに面会を申し込み、2人はレストランでトラブルになる。その翌日ルースが酒と睡眠薬の飲みすぎで病院に担ぎ込まれた。ルースを見舞い、その直後に病院にきたマイロと今度はコロンボがトラブルになる。マイロの態度に激怒して病院から出ようとするコロンボに、母親が小さな子供の靴紐を結んでいる姿が目に入った。

翌朝、オフィスに来たマイロのところに電話が入った。ジェシカがいなかったので自分で電話を取ると、そこからはジーンの声が流れてきた。慌てて電話を切りジェシカの部屋に行くとコロンボがいた。
コロンボはこれが電話 のからくりだと述べ、テープを切った跡も見つけたと付け加える。さらにジーンの遺体のトレーニングシューズの写真を見せ、この紐の輪の位置からこの靴は自分で履いたのではなく他人が履かせたものだと言う。
右利きの人間が自分で靴紐を結ぶと、最初に作った輪は必ず右側に来るが、他人の靴紐を結ぶ場合は最初の輪は左側に来る。この写真の最初の輪は左側にきている。したがって人が結んだものだ。
もっと重要なのは、マイロがジーンの死体が発見される前に、ジーンがトレーニングウェアでいることを知っていたことだった。昨夜ジーンが一人になったときは、まだ背広姿だった。そしてジーンは自分の意思でトレーニングウェアを着ていない。
この世の中で死体が発見される前に、ジーンにトレーニングウェアを着せた人間だけがジーンがトレーニングウェアを着ていたことを知っていた。その人間とはマイロ以外にはいない。コロンボ曰く、完全なアリバイが命取りでしたね。


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