黒のエチュード
ETUDE IN BLACK |
Guest Stars JOHN CASSAVETES JAMES OLSON BLYTHE DANNER And ANJANETTE COMERas Jenifer Welles Special Guest Star MYRNA LOY |
ON AIR Sep 17.1972(USA) Sep 30.1973(JPN) |
スタッフ 製作…ディーン・ハーグローブ 監督…ニコラス・コラサント 脚本…スティーブン・ボチコ 音楽…ディック・デ・ベネディクトス 撮影…ハリー・ウォルフ 美術…アーチ・ベーコン 共同製作…エドワード・K・ドッズ |
キャスト アレックス・ベネディクト…ジョン・カサベテス ポール・リフキン…ジェームズ・オルソン ジャニス・ベネディクト…ブライス・ダナー ジェニファー・ウェルズ…アンジャネット・カマー リジー・フィールディング…マーナ・ロイ |
STORY |
アレックスは高級外車に乗って整備工場に入った。車の調子が悪いと言って馴染みの工場に預け、迎えにきた妻ジャニスの車で今夜行われる野外コンサートの会場に入った。
生中継されるテレビカメラの位置などに注文をつけたあと、8時まで一切の面会や電話をシャットアウトさせて控室に入った。
タキシードに着替え、その胸にはカーネーションを挿したアレックスは、その上からコートを着、サングラスをかけるとアレックスは控室を抜け出した。
車を預けてある整備工場まで歩き、車を持ち込んだ時に予め鍵を開けておいた洗面所から工場内に忍び込むと、車を出してウェルズの住まいに向かった。
自宅で一人でピアノを弾くウェルズのもとにアレックスが入ってきた。ウェルズに妻との仲を清算すると話してウェルズを喜ばせ、改めてピアノを弾き始めたウェルズの背後から、灰皿を使って襲いウェルズを昏倒させる。
昏倒したウェルズをキッチンに運び、ガスオーブンの元栓をひねる。さらにレターヘッドにタイプした遺書をウェルズのタイプライターに挟んだ。この遺書は予めウェルズの隙を盗んで、アレックスが作っておいたものだ。
自殺に見せかける工作を終えると、アレックスはサングラスをかけウェルズの住まいから去ったが、ウェルズのピアノの足許にタキシードから取れたカーネーションが落ちていた。
コンサート会場に戻り、開演の直前にやってきたジャニスとリジーに軽口を叩いていたアレックスのところに、真っ青な顔でマネージャーが飛び込んできた。ジェニファー・ウェルズがまだ来ていないというのだ。何度も電話をしているが常に話中で、連絡のとりようもないと頭を抱えた。
この話を聞いたアレックスは一転興奮し、ウェルズを大声で罵り喚き散らした。事故かもしれないから警察に連絡してみたらと口を挟んだジャニスに、アレックスはなおも興奮し、「それなら勝手にやれ。ただウェルズはいまさら来てもキャンセルだ」と怒鳴って出て行ってしまった。 後に残ったマネジャーは警察に連絡した。
その間にコンサートは開演し、アレックス は指揮棒を振った。コンサートが行われている最中、連絡を受けた警察はウェルズの自宅のキッチンで、ガスにより死亡しているウェルズを発見した。
コンサートが終わって、その余韻も冷めず興奮しているアレックスに、ジャニスとマネージャーがウェルズが自殺したことを伝えた。
ウェルズの自宅では、コロンボを始め警察が捜査していたが、自殺との見方が大勢だった。 そこにアレックスがやってきた。急を聞いて駆けつけてきたと述べたが、アレックスの本当の目的はカーネーションを探すことだった。
すぐにピアノの足許に落ちているのが目に入り、大げさにコートを脱いで、あたかもその時に落としたように見せかけてカーネションを拾うと、胸元につけた。
そこにコロンボが声をかけ、ウェルズの自殺の原因に心当たりがないかを尋ねる。単なる仕事の上の付き合いで、何も知らないとアレックスが答えたときに、玄関に一人の男が乱入してきた。
ポール・リフキンという交響楽団のトランペット奏者で、ウェルズが自殺するはずはないと喚き散らした。興奮しているウェルズをなだめ、アレックスは帰宅させ、自分も外に出た。
玄関を出るとテレビカメラがアレックスを追った。コメントを求められたアレックスは、世界は優秀なピアニストを失ったと短く答えて帰っていった。
コロンボが目をつけたのはアレックスだった。アレックスが妻の車でコンサート会場入りしたことをウェルズの住まいで聞いたコロンボは、修理工場を訪ねた。
工員 に聞くと車はどこにも異常はなかったと言う。車を取りに来たアレックスと会うと、気のせいだったんだろうと誤魔化されたが、コロンボにはぴんと来た。
コロンボはアレックスに自殺を疑っていると疑問をぶつけた。理由は二つ。
一つは遺書がタイプだったことで、自殺するのに遺書をタイプするのは不自然だということ。これに対しアレックスはウェルズは悪筆で自分でも読めないことがあるほど酷かったのがタイプした理由だろうと言った。
二つ目は飼っていたオウムがガスで死んでいたこと。オウムのような手のかかる鳥を可愛がっていたのに、なぜオウムまで殺してしまったのかという疑問。アレックスは自殺者の心理まではわからないからと言って去っていった。
次にコロンボがアレックスと会ったのは昼間のコンサート会場だった。そこでコロンボはピアノを弾きながら、アレックスを待っていた。アレックスがやってくると持参したタイプライターを使って、遺書があとから差し込まれたものであることを証明した。発見された状態でキーを叩くと、文字の位置がずれるのだ。
コロンボはアレックスでも自殺に偽装することは可能で、預けてあるアレックスの車の走行距離が、預けた時とコロンボが修理工場で見た時には15kmほど増えていたことを付け加えた。 工場からウェルズの住まいまで往復すると15kmあるという。
アレックスは全て状況 証拠だし、しかも弱すぎると笑い飛ばしたが、コロンボは最後に警察は正式に殺人事件として認めたと言って帰っていった。
コロンボが次に訪問したのはポール・リフキンだった。ポールの言葉によれば、ウェルズとはもともと交際していたが、少し前にウェルズに別の男ができふられてしまった。 だが自分は今でもウェルズのことが好きだといった。コロンボはウェルズの新たな男友達がアレックスであると確信した。
ウェルズの家の隣にオードリーという女の子が住んでいた。コロンボは最初にウェルズ家に来たときに会っていたが、そのオードリーの助けを借りることにした。
オードリーはウェルズと大の仲良しで、しょっちゅうウェルズの家にも遊びに行っていた。ウェルズに男友達がいるのは知っていたが、見たことはないという。
ところが、ウェルズが死んだ日の夕方、ウェルズの家からタキシード姿の男が出て行くのを目撃していた。 勇躍したコロンボは、オードリーを連れて楽団のリハーサル現場に行った。そこでオードリーが指差したのはポール・リフキンだった。
ポールはウェルズが死んだ日にウェルズの家を訪問したことは認めたが、結局家には入らずに引き上げたと供述した。
本命はアレックスと睨むコロンボはポールを釈放した。アレックスを追い詰めたいコロンボが最後にたどり着いたのは、コンサートのビデオだった。
テレビで再放送している事件当夜のコンサート見ていて、指揮棒を振るアレックスの胸にカーネーションがないのに気が付いたのだ。
コロンボはアレックスとジャニスをテレビ局に呼び、事件当夜のコンサートのビデオを見せた。胸にはカーネションがなかった。次いでアレックスがウェルズの家を出てインタビューをされているビデオを見せた。こちらにはカーネーションがついていた。
カーネーションはウェルズの部屋でつけ たとコロンボは断じた。アレックスは最後の足掻きで、コンサートが終わった後につけたんだと言い、ジャニスにも同意を求めたがジャニスは涙を流しながら終わった後にはつけなかったと語った。