空のオベリスト
Obelists Fly High 1935
国書刊行会
  
海、鉄路に続くオベリスト三部作の最後。今回の舞台はニューヨークからネヴァダ州リノに向かう旅客機の機内。緊急手術でリノに向かう著名な外科医が機内で殺された。外科医のもとには脅迫状が届けられており、それに書かれた時間通りの死だった、事前に相談を受け、警備のために同乗していたニューヨーク市警のロード警部は失態に落ち込むまもなく、捜査を開始するが…
前2作のオベリスト同様、巻末には決のための手掛かりがどこに書かれているかを一覧にして添えてあり、フェアプレイパズルを意識している。さらにあえて巻頭にエピローグを描き緊張感を高め、ラストに配されたプロローグで事件の全容が明かされるという凝った構成になっている。

ニューヨーク警察本部を突然おおずれた著名な外科医エイモス・カッターは、市警本部長に面会を求め「4月13日、中部標準時の正午ちょうど、おまえは死ぬ」と書かれた脅迫状を見せた。
エイモス・カッターは時の国務長官ジェイムズ・カッターの実弟で、兄の国務長官は現在ネヴァダ州リノで病床にあり、100時間以内の緊急手術が必要という。
国務長官の手術はかなり高度な技術を要し、執刀できる確実な腕を持つのはアメリカ国内でも2人だけ。その一人がエイモス博士であった。
悪いことにもう一人の医師がヨーロッパにいるために、国務長官の地位を考えても、また肉親であることからも執刀はエイモス博士が行うことになった。
したがって脅迫状にある4月13日には、リノに向かう機上の人となっているのであった。市警本部長は市警一の腕利きマイケル・ロード警部を呼び対策をたてた。
ロードは早速航空会社にいき丹念に打ち合わせをし、自身も航空機に同乗することになった。
航空機に乗り込むのは、
ヒュー・L・グレイヴン…英国の劇作家
イザドー・ディディノット…哲学教授
L・リース・ポンズ…心理学者で過去の事件(海のオベリスト、鉄路のオベリストでもロードとともに現場にあり、現在はロードの友人)
マンリー・ベローズ…過激な宗教思想を持つ牧師
が一般乗客でほかにエイモス・カッター博士とロード警部。
それにエイモスの姪のフォンダとアイザ、エイモスの助手のフッド・ティンカム、それに乗員たちであった。航空会社では機長や副操縦士、スチュワーデスにはベテランの最優秀の人間を手配してくれた。万全の体制で4月13日午前9時3分、航空機はリノに向け飛び立った。

中部標準時正午少し前に機は予定通りシカゴの手前を飛行していた。ここで気流が悪くなり機体が揺れ始めた。機内には酔止めの芳香剤入りのカプセルが配られた。鼻の下で割って中の気体を吸い込むと酔止め防止になるという最新の品だった。
並んで座るエイモスとロードのところにもカプセルの入ったケースが回されてきた。ロードの勧めでエイモスはカプセルを鼻の下で割ったが、その瞬間椅子から滑り落ちてしまった。
機内は騒然となりエイモスの助手ティンカムが飛んできたが、ロードは誰にも指を触れさせず、過去にともに事件を解決したポンズ博士に診断を頼んだ。
それでも触診は許さなかった。脈と心臓はロード自身が確かめた。その結果エイモスの死が確認された。犯人は脅迫状にあったとおり、中部標準時正午にエイモス・カッターを殺害したのだ。
ロードは機内に犯人はいると確信し、機内から外部への通信と途中の中継地で無断で機外へ出ることを禁止した。さらに外部へは最低限のところを除き事件を伏せた。
出発前に検討されたエイモスの死に目的があるのではなく、エイモスの執刀を困難にし国務長官を死に追い込むのが本当の目的ではないか、だとすれば敵性国の国家的犯罪の可能性もある、ということが頭に合ったからだ。
まもなく着陸したシカゴでエイモスの遺体は後部の荷物室に移された。荷物室は客室とは完全に仕切られ行き来できない。荷物室の鍵はロードが預かり、何事もなかったかのように機は再び飛び立った。
機内ではロードの訊問が始まった。しかし事件の手掛かりとなるものは得られなかった。数時間後機はロッキー山脈越えの途中で、悪天候に真っ只中に飛び込み、あわや遭難の危機にあう。
それをなんとか乗り越えて、シャイアン飛行場に緊急着陸した。あたりは視界がほとんどないほどの猛吹雪だった。ここで新たな事件が…


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