海のオベリスト
Obelists at Sea 1932
原書房
  
黄金期の本格ミステリ作家キングのオベリストシリーズ第1作で、大西洋の豪華客船内での不可解な殺人事件を描く。4人の心理学者による多重解決、そして手がかり索引というオベリストシリーズの共通プロットが最も色濃く出ていると言われる。
大西洋を進む豪華客船メガノート号の喫煙室では、毎晩恒例のオークションが行われていた。オークションの内容は船が1日で進んだ距離の数字を競りで取得して、その結果正解が出れば競りで勝ち取った者が当選となるという、一種の娯楽であった。
その晩の競りは著名な資産家ヴィクター・ティモシー・スミスと弁護士ド・ブラストが火花を散らして競り合うという場面が少なからずあり、周囲も2人の競りを興奮してながめていた。そんなとき突然電気が消えた。パニックになり、その後銃声が響き、椅子がひっくり返る大きな音がした。
すぐに電気は復旧し明るさが戻った。スミスは胸を撃たれ即死状態、同じテーブルにいたスミスの娘という触れ込みのコラリーは首筋から血を流して失神していた。そのそばには拳銃を構えたド・ブラストが茫然と立っていた。
保安係がすぐさまド・ブラストの身柄を確保したが、ド・ブラストは犯行を否認、拳銃は自分を付け狙うギャングが停電を利用して発砲して来たので、防衛のために撃ったものだと主張した。
マンスフィールド船長の指示でド・ブラストの取り調べが行われることになったが、船に乗船していた著名な心理学者4人も取り調べに加わることになった。即ち、行動主義心理学者のフランク・ヘイヴィア博士、精神分析医のマルコム・プレッチス博士、統合心理学者のリース・ポンズ博士、特定の学派に属さないノット・コウ・ミトル教授の4人だった。
4人はそれぞれ嘘発見器の利用、実験者が提示する単語に被実験者が答えるまでの時間を測定する装置を使っての犯人の追及し、偽の遭難騒ぎを起こしてその行動から犯人を特定する、質問票を利用しての犯人特定という思い思いの手法で犯人に迫る。
しかしことごとく容疑者の無実を証明し、その後に現れた別の容疑者は次の実験でまた無実となるなど思うように進まず、船長は呆れるばかり。しかも拳銃で撃ち殺されたと思われていたスミスは、撃たれる前に毒殺されていたことが判明した。
さらにはコラリーの首の傷は真珠のネックレスを停電騒ぎで盗まれたためと判明し、窃盗犯は捕まえたが、殺人とは無関係と主張。そしてコラリーの死体が消え失せてしまう。悪いことに船に落雷して機関が損傷し、スピードが落ちてしまった。停電騒ぎも落雷事故の影響だったのだ。この混沌とする船内で、さらなる事件が…
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