歴史の勉強

甲斐国  甲府城

稲荷櫓

    

内松陰門

天守台

稲荷曲輪門

山手門

甲府とは甲斐の府中(国府の所在地)のことで、甲府盆地の東部からここに府中を移したのは、武田信玄の父信虎であった。
信虎が館を営んだのは、甲府城より北に2kmほどのところであり、そのころ甲府城の付近は一条小山の砦であったという。武田氏は信虎の跡、信玄の時代に全盛期を迎え、その跡の勝頼の時に滅ぶ。
勝頼を滅ぼした織田信長は同じ年に本能寺に斃れ、甲斐の国はそのどさくさによって、徳川家康の支配下に置かれる。家康は甲斐に平岩親吉を入れた。
それより8年後の天正18年(1590年)に家康は豊臣秀吉の命により関東に移され、甲斐には秀吉の甥秀勝が入るが、秀勝は翌年に岐阜に移り、代って加藤光泰が甲斐を領した。
現在の甲府城の本格的な築城開始は、この光泰のときといわれているが、一方で光泰は武田氏館(躑躅ヶ崎館)を修築拡張して政庁としたとの説もある。
光泰が甲斐を領したのは2年ほどで、この間朝鮮にも出陣しており、実際は本格的な築城や領国経営はできなかったと思われる。光泰は朝鮮の陣中に没し、代って浅野長政が甲斐に入る。

長政は秀吉の親戚であり、五奉行の一人でもあった。秀吉は甲斐を家康の関東を抑える要地と考えて、側近であった長政を入れたのだろう。
だが、長政とその子の幸長は関ヶ原で東軍につき、戦後の慶長6年(1601年)に報償として紀伊和歌山に加増転封される。浅野氏の治世は約8年続いたわけで、この間に甲府城の主要な部分が整えられ、城下の中心は躑躅ヶ崎館から甲府城に移っていたとされる。
家康は甲斐国を避難所と考えていたという。すなわち、江戸が危うくなったときは半蔵門から甲州街道を抜けて甲斐に入り、さらに笹子峠を越えて甲府に入って抵抗するというのが、その考えであった。
そのために甲府には徳川一門を置いた。慶長8年(1609年)家康九男の義直を皮切りに、元和4年には二代将軍秀忠の二男の忠長が、寛文元年(1661年)に三代将軍家光の二男綱重がそれぞれ城主となっている。

綱重は延宝6年(1678年)に没し、跡を嫡男綱豊が継いだ。この綱豊は宝永元年(1704年)に五代将軍綱吉の養子となって江戸城に移り、のちに六代将軍が家宣になる。
綱豊の江戸城入りによって空いた甲斐には、綱吉の寵臣柳沢吉保が15万石で入り、はじめて徳川一門以外の城主になった。
このことは綱吉が吉保を一門同様に見做していたことの表れでもあり、吉保の権勢はたいへんなものであった。この柳沢時代に本丸御殿や大奥、長局、清水御殿、数奇屋御殿、観月櫓、三階櫓などの修復や造営などが進められ、甲府は大きく繁栄したという。
しかし宝永6年(1709年)に綱吉が没すると吉保は後ろ盾を失い、その権勢は失われていった。吉保は隠居して自ら身を引き、跡を長男吉里に譲る。吉里は15年ほど藩主を勤めたが、享保9年(1724年)に大和郡山に転封となった。

吉里転封ののち甲府は天領となり、甲府勤番が置かれた。甲府勤番は幕府の職制であり、老中の支配の下、定員2名、役高3千石で追手と山手に分かれていた。
配下には組頭4人、勤番士2百人、与力20騎、同心百人、小人20人がいて、甲府城の守備と城下の政務を司った。
甲府勤番は小普請組の旗本が多く任命され、甲府勤番を最後に役職から退くケースが多く、素行不良者の懲戒的な意味で任命する場合や、余剰幕臣の受け皿ともされ、左遷人事と見られていた。
幕末の慶応2年(1866年)には勤番制が廃されて城代が置かれたが、実効性のないまま明治を迎えて廃城となった。この間の享保12年(1727年)には大火の見舞われて、本丸御殿をはじめ多くの建物が焼失している。

明治の廃城後に建物は破壊され、城内の一部は鉄道用地や県庁敷地になった。その後、明治37年(1904年)に鶴舞公園として開放されたが、公園化されてしまい文化財としての城跡の荒廃は進んだ。
本格的な発掘調査と修復工事が始まったのは平成に入ってからであり、石垣の修復や稲荷櫓、鍛冶曲輪門、内松陰門、稲荷曲輪門、山手門などが次々と復元された。
天守台をはじめ本丸周辺には見事な石垣が残り、その多くが野面積みである。天守はあったともなかったとも言われ、その存在は証明されていない。
現在、甲府城域として姿をとどめるのは、江戸期の三分の一程度の約6haである。さすがに一門の城であっただけに、往時の広大さがしのばれる。
なお、公園名の鶴舞とは江戸後期に白壁が重なり合う優雅な姿から、鶴が舞う雄大な姿を連想してつけれた城の別称という。
(平成20年12月訪問 #38)

参考文献:よみがえる日本の城(学研)、城郭みどころ事典・東国編(東京堂出版)、甲府城パンフレット、歴史読本・歴史と旅各誌、関連ホームページ

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