歴史の勉強

常陸国  笠間城


1.八幡櫓(真浄寺)

2.大黒石

日本三大稲荷のひとつ笠間稲荷神社やつつじ園、そして陶芸の町でもある笠間は、芸術と文化と歴史に彩られた城下町である。
もともと笠間には山岳密教系の寺社があったが、元久2年(1205年)に宇都宮頼綱が一族の塩谷朝業をしてこの地を占拠し、承久元年(1219年)に朝業の子の宇都宮時朝が城を築き始めたという。
時朝は笠間氏を名乗り、依頼笠間氏により支配されてきたが、天正18年(1590年)笠間綱家が後北条氏に与したことで宇都宮氏に攻められて落城、その後は宇都宮氏が支配するところとなった。
慶長3年(1598年)に宇都宮氏が改易されると宇都宮領は蒲生秀行の領地となる。秀行は笠間に重臣の蒲生郷成を入れ、郷成は中世城郭であった笠間城を大改修し近世城郭へ脱皮させた。

慶長5年(1600年)の関ヶ原役後は松平(松井)氏、小笠原氏、松平(戸田)氏、永井氏、浅野氏、井上氏、本庄氏、井上氏と城主はめまぐるしく変り、井上氏が磐城平に移った後は牧野氏が入り明治まで続いた。
このうち浅野氏は唯一の外様大名であった。近世大名としての浅野氏の祖は長政であるが、長政は隠居してのち家康に乞われて江戸に住んだ。
その隠居領として常陸国内に5万石を与えられ、長政の死後三男長重が継いで笠間に移された。長重の次の長直のときに播磨赤穂に転封となる。長直の孫が忠臣蔵で有名な内匠頭長矩である。

さて、笠間の市街地の中心にあるのは笠間稲荷神社で、その周囲には有料駐車場の呼び込みが多いが、ここで駐車場に入ってはいけない。
城を目指すなら日動美術館を目指す。美術館のすぐ先に無料の駐車場(季節により有料らしい)がある。ここに車を停めて城に登ることも出来るし、その先にも駐車場がある。
八幡櫓が移築された城下の真浄寺にはこの駐車場に車を置いて歩く方がいい。駐車場の観光案内所に置いてある観光ルートマップを見れば迷うことなく真浄寺に行ける。
八幡台櫓は本丸南縁に構えられていたが、明治13年(1880年)に真浄寺に払い下げられ、往時の姿で存在している。(写真1)

美術館先の駐車場から城跡のある佐白山に向う。車ならば狭いながらも舗装路がついていて、途中の交差点を右折する。するとすぐに大黒石(写真2)がある。
この大黒石は説明版によると、鎌倉初期に佐白山の僧兵と七会の徳蔵寺の僧兵が争い、敗れた佐白山の僧兵が山に逃げ込み山上にあった大黒石を転がした。その石にあたって多くの徳蔵寺の僧兵が死に佐白山の僧兵は危うく難を逃れられたという守り神のような石なのである。その脇を車で上がるとすぐ右側に千人溜の駐車場がある。
現在千人溜から先は危険防止の為に通行禁止となっており、ここからは歩いて城跡を目指すことになる。
    

3.大手門跡

4.本丸御殿跡

5.八幡台櫓跡

千人溜のすぐ先が大手門跡で、その前面には横堀が巡らされている。横堀はかなりの深さで、中世期以来のものとされる。そして大手門の枡形には石垣が残る。(写真3)
火山噴出物が粘土化したローム層に覆われた関東地方では石が得にくく、そのために城も土塁が中心だった。しかし例外はあるもので、もともと笠間周辺は稲田石と呼ばれるみかげ石の産地であり、佐白山自体も花崗岩でできた山である。
この石を使った笠間城は関東には珍しい石垣多用の城となった。このあと本丸までの間にも各所に石垣を見ることができる。
本丸には御殿が営まれ(写真4)、西の端には宍ヶ崎櫓があり、本丸南側に巡らされた土塁の東端には八幡台櫓があった(写真5)とされる。先述のように八幡台櫓は城下真浄寺に移築現存している。

6.天守曲輪堀切

7.天守曲輪石垣

8.佐志能神社

本丸の東側に佐白山の山頂部があり、そこは天守曲輪となっている。天守曲輪と本丸の間には幅8mもの空堀が切られ、その間には橋が架かる。現在は土橋(写真6)だが、もともとは木橋で、有事の際は橋を落として天守曲輪を完全の独立させるようになっていたという。
天守曲輪はもともと露頭している岩盤を巧みに利用して、五段の曲輪が設けられている。いずれも石垣作りであるが、最下段の高石垣は4mにもおよぶ見事なもの(写真7)である。最上段の天守台石垣には、佐志能神社が築かれている。(写真8)
この神社は天守を解体して造られたものといわれ、転用材の痕跡が多く見られるというが痛みも激しい。神社の周囲にも露頭した大きな石が見られる。
天守からの眺めは木々が邪魔をして良くないが、本丸土塁からは笠間市街や筑波山、加波山などが間近に望める。
(平成21年10月訪問 #35)

参考文献:よみがえる日本の城(学研)、城郭みどころ事典・東国編(東京堂出版)、城郭探検倶楽部(新人物往来社)、東京近郊の名城・古城(PHP研究所)、歴史読本・歴史と旅各誌、関連ホームページ

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