歴史の勉強

美濃国  岩村城

太鼓櫓ほか復元建物


備中高松城(岡山県)、高取城(大阪府)とともに日本三大山城として知られる岩村城は、海抜721mの城山の山頂に、壮大な石垣を巧みに構えた城である。 遠山庄と呼ばれるこの地に最初に城をかまえたのは、源頼朝の寵臣加藤景廉と伝えられる。景廉は頼朝の伊豆配流時から従い、弟のように可愛がられたといわれ、文治元年(1185年)に遠山庄地頭に任じられた。
景廉の長男の景朝は、地名の遠山氏を名乗り相伝したが、遠山氏はやがて分家を繰り返し、戦国期には東美濃に勢力を張る一族となった。しかし天文年間(1532年~55年)には、この地も戦国乱世に巻き込まれることになる。

このころ甲斐に武田氏、尾張に織田氏、三河に松平氏と戦国大名が台頭、美濃でも斉藤道三が旧勢力を追い戦国大名化した。遠山一族の盟主であった岩村の遠山景前は、三男景廉を苗木遠山家の養子に入れ、織田、松平、飛騨の三木氏らとも関係を深めた。
しかし東美濃の安定も長くは続かず、弘治元年(1555年)、武田軍は岩村に侵攻し占領した。そのようななか景前は死去し、跡を景任が継いだ。一方、尾張の織田信長は美濃を攻略し、岩村は武田氏と織田氏の勢力分界ともいえる地となった。
信長は武田信玄をことのほか恐れ、同盟するなどして暫くは均衡が保たれたが、元亀3年(1572年)に信玄が西上を開始すると、同盟は無実となった。この年に景任が死去すると信長軍は岩村を占領した。

武田軍は同年11月秋山虎繁が岩村城を攻め、これを奪還した。未亡人となった景任の室を虎繁に再嫁させることを条件にした、無血開城であったともいわれる。しかし翌元亀4年に信玄が長篠で病死し、周知のとおり信長は天下統一に向け前進していく。
しかしすぐに岩村城に変化があったわけではなく、むしろ信玄の後継者勝頼は、天正2年(1574年)に東美濃の織田方諸城を落して、苗木城を除く遠山庄を占領した。
これに対し信長は武田攻撃を決意し、翌天正3年に長篠設楽が原で武田軍に壊滅的な打撃を与え、長男信忠に岩村城を攻めさせた。この結果、岩村城は再び織田領となった。

岩村城には織田の重臣川尻秀隆が入り、本能寺の変で信長が死去後、秀吉の時代になると森忠政、次いで田丸直昌に与えられた。さらに関ヶ原後は松平(大給)家乗が2万石で入った。
松平(大給)氏は二代37年続き浜松に移封され、その後には三河伊保より丹羽氏が2万石で入る。丹羽氏は五代64年続いたが藩政改革を巡る家臣団の対立から騒動になり越後へ移封された。
続いて信濃小諸より松平(大給)氏の分家乗紀が入り2万石、その後乗賢のときに3万石となって廃藩置県まで七代続いた。


藩校知新館

一之門跡

畳橋跡

追手門跡

霧ヶ井

菱櫓石垣

六段石垣

二の丸櫓門跡

平重門跡

本丸埋門跡

本丸高石垣

出丸跡

城山の麓には慶長6年(1601年)の松平家乗が邸を構え下屋敷とも呼ばれたが、明治14年(1881年)に焼失した。平成元年から2年にかけてこの場所に太鼓櫓、表御門、平重門などが復元された。藩主邸跡は駐車場のほか岩村歴史資料館が建ち、元禄16年(1703年)創設という藩校知新館の門が移築されている。
ここから約800m、藤坂といわれる坂を登り山頂を目指す。櫓門であった一之門跡、土岐氏の居城から移したとされる土岐門跡を経て、第三の門追手門跡に至る。この門の前面にある空堀には畳橋といわれる木の橋が架かり、非常には畳を挙げるように橋を外すことになっていた。追手門脇には天守相当の三重櫓があった。
さらに進むと霧ヶ井といわれる藩主専用の霊泉があった。敵襲の際に秘蔵の蛇骨をこの井戸に投げ入れると、城が霧で覆われたことからこの名がある。この先の左手には八幡曲輪跡があり、かつては八幡宮があった。八幡曲輪の東側には俄坂門があり、右側には菱櫓があった。

菱櫓はくの字型の櫓で、その先が複雑な形をした二の丸櫓門である。二の丸は岩村城最大の曲輪で番所や役人の詰所、蔵などが並んでいた。そしてその先には雛段状に築かれた、本丸の六段石垣がある。一気に築いた上段の石垣の崩落を防ぐ目的で、雛段状に五段の石垣を積み上げて補強したものという。
本丸の東側には一段下がって東曲輪があり、二重櫓が建っていた。本丸正門の平重門から本丸に入るが、ここには櫓が二基と多聞櫓があったほかは何も設けられず、非常時の詰所であった。二の丸から本丸への門は裏門にあたり、埋門となっていてここに二重の納戸櫓が設けらていた。
また本丸の西側には見事な高石垣があり、南西側には出丸がある。出丸には太鼓櫓、多聞櫓があった。岩村城は川尻秀隆が入って以降に近世城郭として整備されたといわれ、江戸期には日本で最も高い場所にある城郭であった。 (平成26年11月訪問 #134)

参考文献:よみがえる日本の城(学研)、城郭みどころ事典・東国編(東京堂出版)、岩村城パンフレット、歴史読本・歴史と旅各誌、関連ホームページ

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